すれ 乗降時の摩擦によりシートのサイド部分に多く発生します。革の表面(塗膜)が衣服により摩擦され、少しずつ磨り減っていき革本体が露出してしまう。革シートの代表的な傷みです。自動車革シートのほとんどの革は塗膜が2層になっており、下塗りより上塗りのほうが摩擦に対し物性が高くなっています。そのため、上塗りが磨り減ってしまった後は比較的早く磨耗が進行してしまいます。上塗りの塗膜をすり減らさないことが重要です。 |
ひび割れ 乗降時の革の変形等により、シートのサイド部分や座面等に発生します。革は、毎回同じところに「しわ」ができる性質があるため、毎回同じところで屈曲し、疲労により、まず、塗膜に「割れ」が生じます。その後、革本体も疲労によりひび割れます。「割れ」に対しても下塗りより上塗りのほうが物性が高くなっています。すれに並び代表的な傷みです。 |
色あせ、変色 自動車内装用の革は、上塗りにウレタン樹脂が使用されていますので、家具用及び衣類用革に比べ、紫外線に対する物性は高くなっています。 しかし、一部車種には、紫外線に対する物性が低い革(物性よりも質感を重視した高級品)が使われていることもあるようです。このような革はの他の物性(磨耗、割れ)も高くはありません。 |
シミ、くすみ 下塗りの塗膜は、一度ついた汚れが落ちにくい性質があります。上塗りが磨耗してしまった革についた汚れを落とすことは、ほぼ不可能です。(塗膜といっしょに削り落とせばきれいになります。) |
硬化、縮み 本来、革は熱に対し非常に弱く、高温により、硬化や縮み等の現象が発生します。今日の自動車内装用の革は、なめし工程により耐熱性が向上していますが、長時間高温にさらされることで、少しずつ硬化や縮みが発生することがあります。 その他、傷や薬品による色落ち等々がありますが、革を長期間良い状態で保つために、構造上、上塗り塗膜が重要な役割を担っています。 その上塗り塗膜を保護することが革シートの最良の保護になります。 |